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神奈川県立近代美術館『東欧アニメをめぐる旅』

2014年11月20日

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そして夏から楽しみにしていた東欧アニメの企画展へ。

5〜10分程のアート性の高いアニメーションは興味あるテーマのひとつで、美術館やギャラリーで上映があると足を運んでいます。この展覧会では、チェコ、ポーランド、クロアチアの、東ヨーロッパ3カ国の短編アニメーションがテーマ。会場では絵コンテやセル画はもちろん、大小合わせて13ものスクリーンにてアニメーションを上映していて、「全て見ようとすると4時間以上になってしまいますよ〜」というスタッフの方のアドバイスをもとに、気になる作品を選んでの観賞となりました。映像を見つけられたものをいくつかご紹介〜。

「エアザッツ」1961年 デュシャン・ヴコティチ

こちらはクロアチア映画、1962年のアカデミー賞短編アニメーション部門を受賞しています。すべてが代用品でできた島で休暇を楽しむ男のはなし〜軽快なテンポで進むアニメーションですが、現代への風刺が効いてます。。

「Vau,vau!」1964年 ボリス・コラール

同じくクロアチア作品。ぬくもりの残るタッチで描かれたイヌ&ネコの親子のはなし〜同監督の作品「ブーメラン」も上映されていて、こちらの方が好みでした(動画は見つからず..)。グラフィカルで可愛らしいイラストとは裏腹に、戦争に向かう国家を風刺した作品でした。

「ダニーボーイ」2010年 マレク・スクロベツキ

ポーランド作品。アカデミー賞を受賞している監督の、パペットアニメーション。ポーランドはヨーロッパで最も歴史あるアニメーションスタジオ、セ・マ・フォルを有している国。人形によるストップモーションアニメなのですが、この作品の内容は大人向け。

「おもちゃたちの反乱」1946年 ヘルミーナ・ティールロヴァー、フランチシェク・サーデク

そしてチェコ作品。人形劇の盛んだったチェコでは、人形アニメーションが主流になります。こちらは一見するとおもちゃ達が入って来た兵隊に対して、一丸となって攻撃をする可愛らしいお話なのですが〜その実、ヒトラーに背くおもちゃを製作している工場に秘密警察がやって来て、間一髪逃げた工場長の代わりにおもちゃ達が反乱を起こすという反戦ものなのでした。おもちゃたちの容赦ない反撃が見所!可愛らしいおもちゃを使って、伝えたい事、人々の思いを話に乗せています。

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東欧とアニメーションで知っているものと言えば、シュルレアリスム作品のヤン・シュヴァンクマイエルなど、ほんの少しでしたが、この展覧会で一気に深めることができたように思います。3カ国それぞれに特徴があり、時代背景も考えて見ていくと一歩踏み込んだ理解もでき、内容の濃い素晴らしい企画展でした。

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じっくり時間を掛けて見終わると、こんな美しい夕焼けが待っていました。

【神奈川県立近代美術館 葉山館】神奈川県三浦郡葉山町一色2208-1

カテゴリー:ART&CULTURE

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