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【ART】クリスチャン・ボルタンスキー「アニミタス」 @東京都庭園美術館
2016年10月 7日
ランチの後は、東京都庭園美術館で開催されているボルタンスキーの展覧会へと足を運びました。
名もなき人々の生と死、記憶をテーマとした作品を発表している現代アーティストのボルタンスキー。東京では初となる展覧会は「アニミタスーさざめく亡霊たち」というタイトル、さてさてどんな展覧会かしら(平日のみ撮影可能です)。
こちらが作品…ではなく庭園美術館である旧朝香宮邸のエントランスホール。肝心の作品はと周りに目を向けてみると、ヒソヒソ、ヒソヒソとあちこちからささやきが聞こえてきます。そう、その「声」自体が作品となっているインスタレーションなのです。朝香宮邸の後は首相公邸や迎賓館としても使用されていた国の重要文化財でもあるアールデコ洋式の建物は、その歴史の重みゆえに、そこにいるのかもしれない者たちの声をテーマにしたのでしょうか。。
食堂に移ってもヒソヒソ、ヒソヒソ。天井などに仕込まれたスピーカーからの「声」はさまざまな言葉の断片で、名もなき人々なのか元外交官たちなのかと気づくと想像を巡らせていました。何度も訪れているこの美術館の重みのようなものを、いままでよりも感じることができたように思いました。
階段でもヒソヒソ…美しい建築を愛でながら2階へ。
【影の劇場/本館 若宮の間】
こんな過去の作品も。2階にはこの他に、以前香川県・豊島で見た「心臓のアーカイブ」の部屋がありました。
渡り廊下を渡って、新館へ。
現代アーティストである杉本博司氏をアドバイザーに迎えた新館には、ホワイトキューブのギャラリーが2部屋。
【帰郷/眼差し】
名もなき人々の眼差しと、その先にある富や死を連想させる山。過去2つの作品を合わせた展示でしたが、これだけでは私の理解を超えたところにあるインスタレーション。。配られたパンフレットや別室のインタビューの模様で、しっかりと意味合いを確認しつつの鑑賞。
【アニミタス】
チリにある4000mを超える高原でのインスタレーション作品と、
【ささやきの森】
ただいま開催されている香川県・豊島の森でのインスタレーション。
フカフカと麦わらの敷かれた部屋を仕切るように表裏対になった展示は、充満する麦わらの香りと足の感触、目の前に広がる大画面によって、自分も中に入っているような錯覚に陥ります。ともに自然の中にある無数の風鈴の音色が鳴り響いているのですが、一方は朽ちてゆく場所に残る魂(アニミタス=霊魂・生命)を、もう一方は存在し続ける祈りの想い(ささやき)を表しています。
いまここに生きている生命、そこにいたであろう魂。名もなき人々が過去、現在、未来と生き続けていくことを、彼の作品を眺めながら感じたのでした。鑑賞者が作品に対峙して考えを巡らせることを含めてアートとなるインスタレーションを、この空間で体験できたことが幸せでした。
そうそう、改修工事の最後に残っている庭園も半分は入ることができるようになっていましたよ。