【デザイナー紹介】アルネ・ヤコブセン

Arne Jacobsen(アルネ・ヤコブセン)1902-1971
デンマーク・コペンハーゲン生まれ。王立芸術アカデミー在学時にパリ万博で銀賞、その後も数々の建築コンペで入賞を果たす実力派。
デンマーク近代建築の旗手として多くの建築を設計。その建築に合わせて家具や照明、ファブリックに至るまでをデザインし、空間全体を総合的に作り出す才能にあふれていました。
ラディソンSASロイヤルホテルのために作られたスワンチェア・エッグチェア、また代表作といえるセブンチェアなど、建築家としてはもちろんインテリアデザイナーとしても数多くの作品を残しています。

【参考資料】

【1964年 Gord Hatje出版 ARNE JACOBSEN より】
アルネ・ヤコブセンの設計した建物を紹介している書籍より、SAS Royal Hotelの様子を紹介します。


1階のロビーには、ヤコブセン建築のこだわりの特徴となっている螺旋階段が美しく鎮座していました。現在は The Radisson Collection Royal Hotel, Copenhagenと名前も変わり、改装によりロビーのインテリアも異なるものに変わっています。


そんな螺旋階段を望むカウンター前には、こちらもこのホテルのためにデザインされたエッグチェア。座ると体全体が包まれるシェル構造で、4脚で円を描くとそこだけ周囲と隔離されたパーソナルスペースとなります。私たちも改装前に訪れたことがありますが、騒がしいロビーが座るだけでひっそりとしたスペースに変わり、チェア一脚によってこうも変わるのかと驚きました。


そして客室の様子。チェアにベッド、照明、壁紙、ドアノブに至るまで自らデザインするという、ヤコブセンの徹底した完璧主義が貫かれています。そんな壁面を彩っているのが、今回のピクチャーフレーム。彼には普通に使われている額縁の”縁”さえも、この客室の空間には不要に見えたのでしょうね。現在は「ROOM 606」として、当時のまま一室のみ保存されています。