1928年Mogens Kochのデザインによる、RUD.RASMUSSEN製ヴィンテージ キャビネット。
上段のオープン棚、下段の扉付きキャビネット、その下の台輪(土台部分)の3パーツから構成されています。一番の特徴はオープン棚が正方形のモジュールで設計されていること。これによって棚を90度回転させて使うことも可能となり、中に収納するものによって棚内の高さを選ぶことができます(詳しくは画像ご参照)。
下段のキャビネットの扉を開くと、大小細かに仕切られた収納部が現れます。縦仕切りの部分に、書類ケースが3段、そして大きめのオープンスペースと使い勝手が良さそうです。接合部は蟻組み継ぎによるもので、その精巧な様にデザイン性を感じます。このような細部の美しさにデンマークに140年も続いた名工房RUD.RASMUSSENの職人の息遣いが感じられます。
素材にはパインの無垢材が贅沢に用いられております。こちらは特に上質な古い年代のオレゴンパインの特徴的な杢目が見て取れ、味わい深く変化した色味となっております。この薄く精密に組み合わさった棚を”反り”の生じる無垢材で製作する大変さは想像に難しくなく、その解決策としてキャビネット扉には複数枚の無垢材をまるでパッチワークのように組み合わせる方法を取りました。このような方法はデザインした当時に”合板”が発明されていなかったことが理由のひとつですが、その制約によって特徴的なキャビネット扉の意匠が生まれたのは流石の一言です。
元々自身の書斎用にデザインされた棚のため、使い勝手の良さは折り紙付き。沢山の書籍を一度に収納したり、見せたくないものは鍵付きのキャビネット内へ入れたりと、効率よく収納できそうです。程よい高さと明るめの色味で、圧迫感なくインテリアに馴染んでくれることと思います。
全体を丁寧にサンディング(研磨)をした後に再塗装を行い、自然な艶の良い雰囲気に仕上がりました。下部側面と天板などに日焼け跡が見られます。北欧は日照時間の短い冬ゆえカーテンを開け放って暮らす人が多く、この方もそうして生活していたのだと想像します。そのほか細部の状態などは、画像をご参照ください。