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ラッセ・ハルストレム『My Life as a Dog』
2013年7月25日
スウェーデンのラッセ・ハルストレム監督の映画『マイライフ アズ ア ドッグ』を観ました。
舞台は1958年のスウェーデン、主人公のイングマルは病気を患う母といたずら好きの兄、愛犬シッカンと共に小さな海辺の町で暮らしていました。しかし母親の病気の悪化が理由で、ガラス工場で働く叔父さんの元へ預けらることに。工場のある山間の田舎町で出会ったのは、おかしな住人達や男勝りの少女、山の中で暮らす芸術家などなど。そんな温かな人たちとの触れ合いや、少年の頃のキラキラとした毎日がぎゅっと詰まったストーリーにすぐに引き込まれていきました。もちろんその裏にある母親の死や家族との離別、貧困などの重いテーマがあるのですが、「少しの食料とともに宇宙へ行き、星になってしまったクローカ犬に比べたら、僕に起きていることなんて大したことない。」という12歳のイングマルの哲学によって、深刻さはなくストーリーは進んでいきます。こんなに人間の心を細やかに綴った映画を撮ったのは誰だろうと調べると、「ギルバート・グレイプ」と同じ監督と聞いて納得。
ストーリー以外にも部屋のカーテンの柄や、ガラス工場で働くおばちゃま達の頭を覆ったスカーフ、小学校の壁にかかったポスターに、ガールフレンドの部屋にあったビューローなど…さりげない日常の中のデザインをしっかり吸収しました。
そもそもこの映画を見ようと思ったのは、登場する芸術家のモデルがエリック・ホグランという理由から。いま彼のガラス作品をメンテナンス中なので、近日中にアップしますね!