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【春たび・出雲路⑤】民藝の窯、出西窯へ
2017年3月23日
そして最後に是非とも訪れたかった「出西窯」へ。
宍道湖へと流れる斐伊川の流れるおっとりとした田園風景の中、
立派な古民家が姿を現しました。こちらは明治初期に建てられた米蔵を譲り受けて、移築されたのだそう。現在は「くらしの陶・無自性館」として、出西窯の陶器を販売しています。
さっそく中に入ると、真ん中が吹き抜けになっている開放感のある空間が広がっていました〜。柳宗悦氏の民藝の考えに感銘を受けた、幼なじみの5人が昭和22年に開窯したのがはじまり。”野の花のように素朴で、健康な美しい器、くらしの道具として〜”という理念のもと、今もなお作られているのです。
ともするとぽってりと野暮ったくもなりうる民芸の器が、こんなにもすっきりと普遍的な美しい形に昇華しているのはなぜだろう。。そんな思いで訪れたのですが、シンプルな平皿は浜田庄司氏に教えを、モーニングカップはバーナード・リーチ氏に、はたまた別のものは河井寛次郎氏と、民藝運動の中心となった方々に直接教えを請うていたのだというから納得です。フォルムは、釉薬はと、一つの器を妥協なく時間をかけて作り出していったのですね。
館内には、出雲手仕事の品々も飾られていました。
そして2階へ、剥き出しになっている松の木の梁は圧巻!
吹き抜けの階段には大皿や鉢が飾られていましたが、ここを客席として講演などもできるように作られているのだそう。
そして奥に見えるお隣の建物へ。
そう、工房見学です!作業の邪魔にならないよう、できるだけひっそりと、影を消すことに徹しました。。
轆轤引きで出来上がった湯飲み、乾燥させているところかしら。
こちらはモーニングカップ、バーナード・リーチ氏に指導していただいたという美しいフォルム。
寸分の狂いもない器たちが並んでいる姿に、惚れ惚れとしてしまいます。
轆轤は陶工一人に一台ずつなのだそう。
後ろから…息をひそめての見学。手仕事の素晴らしさに、じっと見入ってしまいました。
別の轆轤には出番を待つヘラが壺の上にちょこんと並んでいたり、
物差しとして使うトンボを発見。
出入り口付近には、様々な釉薬の入った甕が並んでいました。
そして東側には6連の登り窯。以前浜田庄司記念益子参考館に行った時に登り窯を見学したことがありましたが、こちらは現役の息遣いが感じられます。
薪を投げ入れ続けて最高1200度にも達する窯での作業、どんなに大変なのでしょう。
窯の上に並んだ、お猪口より小さなものたち。釉薬の色味を見るのかしら。。
窯の隣の部屋では、出来上がった品々が木箱に詰められていました。
再び無自性館へ。売り場の脇はカフェになっているのかと思ったら、無料で飲み物をいただけるフリースペースとなっていました。販売されているものと同じ器を使うことができるので、口当たりなどを試すのも良いですね。
合わせて訪れたかった出雲民藝館へは、時間切れで断念。。いつになるか分かりませんが、次回は鳥取と一緒に民藝を巡る旅というのも良いなぁ。
羽田に着く少し前の機内より。夕日の美しさで有名な宍道湖では残念ながら拝むことができませんでしたが、また違った風情の夕日を旅の終わりに見ることができました。たくさんの発見と学び、美味しい料理とてんこ盛りな旅もおしまいです。