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【ART】鴻池朋子「ちゅうがえり」@アーティゾン美術館
2020年7月29日
2015年から休館していたブリジストン美術館が、5年の歳月を経て今年1月にアーティゾン美術館として再始動。春には休館をしており、期間変更してお目当ての展覧会が始まったということでやっと来館することができました。
入り口での検温&空港の保安検査場のセキュリティーゲートのような場所を通って6階へ。日時指定券を事前購入しての来館のため、スムーズかつ混雑知らずでした。
「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×鴻池朋子 ちゅうがえり」。生まれ変わった美術館では2800点ものコレクションと現代アーティストとを合わせの展示を年に一回行っていくそう。名だたる名作にとの共演で現代アートがどう変わるかも面白いですが、それをジャム・セッション(即興演奏)に例えるなんて粋ですね〜。そして第一回目に選ばれたのは、現代アーティストの鴻池朋子さん。
入ってすぐから鴻池ワールドが広がっています。。絵画、彫刻、インスタレーション、何にも縛られないで新たな道を切り開いているような彼女の作品群(企画展の展示室内も撮影可能でした)、先に見える駆除されたオオカミの毛皮のトンネルを通って中へ進みます。。
ドローイングや絵画作品に合わせて、今年開催予定だった東京オリンピックの公式アートポスターの原画もさりげなく展示されていました(右から4枚目のカラフルなものです)。前回のオリンピックでは亀倉雄策氏の素晴らしいポスターが思い浮かびますが、今回は写真家、美術家、漫画家とオリンピックだけで12枚(+パラリンピック8枚)も製作され、12人12色のデザインで面白い試みですね。
広い展示室の真ん中に鎮座しているのは…滑り台!?
工事現場の足場のようなスローブを登っていきます。展覧会の依頼を受けてからまずは展示空間を見て、その土地の歴史を知った上で作品を制作or配置していくと語っていました。今回のこの京橋の地には、どんなことを感じたのでしょうか。
スローブの上にたどり着いて、滑り台からサーっと滑ったところでみえるのはこの景色。この新作の襖絵に囲まれると、また別の宇宙が広がっているようで、安心するような不思議な感覚に陥りました。。もう一度この感覚を味わいたい!と、空いているのをいいことに何十年ぶりの滑り台を再度チャレンジ。。
右側がコレクションのギュスターヴ・クールベ作《雪の中を駆ける鹿》、それに呼応した彼女の作品。とはいえ、作品を保管している倉庫を訪れても1枚も選ぶことができなかったそうで、学芸員さんが「森」を題材とする作品を3枚選んだのだとか。
部屋の一角から(彼女が真似た)狼の鳴き声が聞こえてくると思えば、そこには《影絵灯籠》が。この自転車の車輪は、美術館の母体でもあるブリジストンのものかしら。
ふとボルタンスキーの《幽霊の廊下》を思い出しましたが…あちらは影絵=幽霊・亡霊と死を感じるものであるのに対し、影絵=神羅万象と生を感じるもの。とはいえちょっと笑みが溢れるのは同じでしょうか。
壁の片面には革をつなぎ合わせた特大サイズの作品《皮トンビ》にご対面、これは2019年の瀬戸内国際芸術祭で大島に野外展示されていた作品です。その前年の2018年に直島へ旅したからと行かずじまいだった瀬戸芸でしたが、この作品には大自然の中で出会いたかったな。。
2009年に東京オペラシティアートギャラリーで開催された展覧会を観て以来、神話やおとぎ話と幻想的で壮大な世界観を感じる彼女の作品に惹かれていましたが、今回の展覧会ではより濃縮されたものを受け取って、帰る頃にはぐったりと疲れ果てていたのでした。