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【秋旅②】丹下さんの県庁を見に行こう
2014年9月24日
そして日本を代表する建築家・丹下健三氏初期の代表作でもある香川県庁へ、久しぶりに訪ねてみました。
昨年県庁では「丹下健三生誕100周年プロジェクト」のひとつとして、ガイドツアーを実施。そのツアーが大変好評だったということで、今回の生活工芸祭に合わせて2日間の復活となりました。この県庁へは学生時代に2人で訪れたことがあるのですが、ガイドさんの話を伺いながら廻ることができるということで(無料ということもあり)どうしても参加したかったのです。参加者は一般の方から建築・インテリア関係の仕事をしている方まで様々、今も褪せない魅力があるのだなぁと実感しました。
デザイン知事とも呼ばれた施主である県知事からの注文の一つは、市民に開けた県庁であること。威厳たっぷりで用事がないとやって来られないような場所ではなく、ちょっと雨宿りに、新聞を読みに、ちょっとベンチで休憩に、そんな普段使いの場所に。その答えの1つが開放感たっぷりのピロティ。ミキサー車もない時代に作られた鉄筋コンクリート構造の建物、このピロティだけでも果てしない苦労があったのでしょうねぇ。。コンクリートに残る型枠の杉の節に驚いていると、この緻密な仕事は丹下作品の中でも一番の強度を誇るコンクリートなのだというお話にさらに驚くことに。。
南側のお庭からは建物の構造がハッキリと見てとれる一番のポイントだそう。鉄筋コンクリートのダイナミックさだけでなく、細い張りは伝統的な日本建築のよう。庭に使われたのは庵治石を主とした地元の石、そう知事の注文の一つに地元の材料、地元の人員を使うということも入っていたそう。
そしてお待ちかねのロビーへ。丹下さんと県知事を繋げた猪熊弦一郎氏の壁画、剣持勇氏デザインのスツール、デスクのようなベンチは桜製作所が担当。何度見ても素晴らしく、それがまだ現役であることにも驚いたり。何より突然感がなく、しっくりと馴染んでいるのが優れたデザインなのだと感じました。
普段は入ることのできない執務室へ案内していただけたのも、ガイドツアーならではの特権。センターコアシステムの説明などの少しだけ専門的な話から、階段のフォントはコルビュジエの影響があるという裏話まで、濃い話はまだまだ続きます。。
そして2階にある県庁ホールへ。モダンなクロークや受付は桜製作所が、ホール内部のデザインは剣持さんが担当。どことなく和を感じる色合いがとても美しく、ここでも普遍的なデザインは色褪せないのだなぁと実感したのでした。1時間少々のガイドツアーはこれにて終了。スクラップ&ビルドのこの日本においては、少し古くなったから、使い勝手が現代に即していないからとすぐに取り壊してしまうことがほとんど。それをデザインの素晴らしさを現在働いている方や市民の方々が良く理解されていて、後世に残そうと考えているのが本当に素晴らしく思いました。
2泊3日の夏休みはもう終わって通常業務に戻っていますが、今週は時間を見つけてはこの旅の様子を綴っていこうと思います。どうぞ、今しばらくのお付き合いを。。