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【夏たび・日光②】湖畔の旧別荘へ

2017年9月 3日

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「い、ろ、は、に…」とカーブごとにふられた仮名を数えながら、いろは坂をぐんぐんと登っていきます。あと数ヶ月後の紅葉の時期には大渋滞なのでしょうが、今日はスイスイ。青紅葉の茂る景色もまた美しいものです。

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登りきった先は奥日光、海抜1,200mを超える中禅寺湖へ到着。ちらりとその姿を見せてくれた男体山もあっという間に霧の向こうへ消え、幻想的な空気が立ち込めていました。

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中禅寺湖に来たからにはと、今年で開山1250年を迎えるという中禅寺へご挨拶。

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土の下に根を生やしたままの桂の木を彫った立木観音、そして偶然にも初公開されていた吉祥天像をありがたく参拝させていただきました。

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そしてゆっくりと湖畔を散歩して見えてきたのは…

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一度は訪れてみたかった、旧イタリア大使館別荘記念公園!設計は日本のモダニズム建築を語る上では欠かせない建築家 アントニン・レーモンドです。帝国ホテルを建てる際にフランク・ロイド・ライトの助手として来日したレーモンドの、独立して初めての大仕事でした。

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明治より国際的な避暑地として賑わっていた中禅寺湖畔に、1928年建設。イタリア大使の夏の避暑地をして使われたのち、1997年より栃木県に譲渡されたことで一般公開となりました。

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1階は書斎・ゲストルーム・ダイニングが一続きとなった、広々としたワンフロア。畳こそないものの、西洋様式を組み合わせつつも木造の和風建築であることに驚きました。

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中でも目を引くのは杉皮が用いられた網代天井。亀甲、市松、石畳と、日光の職人が技を競うかのように様々な模様がみられます。

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両端にはシンメトリーに暖炉が。杉皮は当時の日光では屋根材として使われていたそうですが、こうした杉板と杉皮で壁面に模様を作るなんて面白いアイデア。手書きの図面にも職人より素材や工法などのアイデアを募る文面が記載されているというから、彼らをとても信頼していたことが伺えます。

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飾り立てた豪華さとは異なり、ほっと心を和ませてくれるような親密さを感じる空間。

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そしてワンフロアの片側には、湖に面して17mもの広縁が!杉の木のお蔭か内と外が一体となったような空間に、見学者もソファにどっしりと腰を下ろして思い思いのひと時を過ごしていました。

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明治から昭和にかけて、各国大使館をはじめ多くの外国人別荘が建てられ、現地での交通はヨットやボートが使われていたのだそう。今とは全く異なる姿をぼんやりと想像しつつ、日常の疲れが消えていくのを感じました。

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思ったより別荘で時間を使ってしまい…華厳の滝はまた次回にして、夕方になる前にと川治温泉へと急ぎました。

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宿では温泉につかり美味しいものをいただいて、の〜んびり時間。8月はほとんど休みが取れなかったので、このご褒美のような時間が本当にありがたく感じました。

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