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【ART】石川直樹 この星の光の地図を写す @東京オペラシティ アートギャラリー
2019年3月10日
代々木上原でのランチの後は、ほど近い初台にある東京オペラシティ アートギャラリーへ。幾度となく個展を訪れている写真家・石川直樹さんの回顧展です。22歳から今に至るまでの20年間を通した作品が一堂に会した展示で、全国5カ所を回った締めくくりがこのオペラシティとなっています(会場内は最終章を除いて撮影可能)。
【今展覧会のチラシ・オモテ面】
石川さんを説明する時にはじめに書かれるのは「22歳で北極から南極まで人力で踏破、23歳で七大陸最高峰の登頂に成功」というもの。確かにそうなのですが、その文言だけ見るとまるで冒険家のフォトグラファーという感じがして、どこかしっくりとこなく…。
【今展覧会・ウラ面】
私が作品から受ける印象は ”冒険家の偉業を写真で収めた” ものというよりは、”世界をフィールドとして、その自然や人々の日常を切り取っている” というような、どこか学者のような視点を併せ持っているように感じるからなのでしょうか。
「POLAR」
1997年より約10年間にわたって繰り返し訪れた北極圏がテーマのPOLAR(極地)。グリーンランドの景色、そこに住む人々を、その時の空気までを閉じ込めてしまったのではと思うような写真。そういえば石川さんの作品に惹かれたのは…いつだったか東京都現代美術館でこのシリーズを見たのが初まりだったなぁと思い出しました。
「ANTARCTICA 」
同じ空間の反対の壁には、同じ極地の南極大陸が。ここでも最果ての地をクローズアップするのではなく、そこに存在するものをフラットな視点で切り取っています。
「NEW DIMENTION 」
次の部屋は一転して茶色い絨毯に赤褐色の壁!真っ白な空間から入るとグッと光を抑えた空間に驚きつつ、目が慣れるのを待ちます。。ここは太古の壁画をテーマとして世界を巡った作品。周りの自然や住む人々も撮りながら段々と洞窟へ到着、まるで時を遡って追体験しているような感覚に。
「CORONA」
そしてその次の部屋では一転して洞窟からポリネシアへ、深く沈んだ藍色に包まれていました。それを肌で感じることのできる手の込んだ空間だと思ったら、石川さんご自身が手がけたというから更に驚きました。。
昨年東山旧岸邸で行われた展覧会でも拝見した「Mt.Fuji」を通過して…
「K2 」
ふたたび、真っ白な空間へ。こちらはヒマラヤ山脈第二の高さを誇るK2へ挑戦した時のシリーズ。パキスタンの街中から段々と近づく山…ただしK2山頂からの写真はなく、相次ぐ雪崩何度で断念したため。。単に冒険家であるのなら登山が成功しなければ成立しないのかもしれないけれど、その工程の全てに意味のある彼だからこそ作品として活きるのだと感じました。真ん中にあるザ・ノース フェイスのテントの中では、その際の映像が流れていて、臨場感たっぷりで拝見することができました。
「石川直樹の部屋」
最後に遠征で使用した装備や道具などを展示、ワクワクの詰まった空間となっていました。
一人の人間がこんなにも広い範囲を旅していることに驚きました。そして ”長方形に歪んで落とし込まれた地図”でななく、 ”彼がこの星を歩いて写し出した光の地図” となって私たちが追体験できることに感謝するのでした。
【東京オペラシティ アートギャラリー】東京都新宿区西新宿3-20-2