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【ART】東京都現代美術館 / 光みつる庭、途切れないささやき
2022年4月 9日
ランチの後に向かったのは、東京都現代美術館。
1994年に建てられ2016より3年間の改修工事を行ない、リニューアル後も魅力的な展覧会がたくさん開かれています。2020年に行われたデンマークを代表するアーティスト「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」展も素晴らしかったなぁ。
あちこちの美術館が春くらいから元に戻ってきた印象。。しっかり対策&予防しながら少しづつ日常に戻っていくことはとても嬉しく、そして改めてアートは日常の心の栄養に必要なことだと感じた2年でもありました。
この日は同時開催されている企画展ではなく、収蔵品の中からキュレーションするコレクション展「光みつる庭/途切れないささやき」が目的。
ということで入口から近い方の企画展示室を通り過ぎて、奥側にある常設展示室へ。3階までの吹き抜けになっている高いトップライトから降り注ぐ光が気持ちよい(会場内は一部の作品を除いて撮影可能でした)。
やわらかな光のまわる空間、1階部分にて第1部「光みつる庭」がスタート。アーティストが創り上げた”作品という庭”を私たちが回遊していく〜という趣旨なので、心を空っぽにして散策のスタートです。
《今展覧会フライヤー・オモテ面》
《今展覧会フライヤー・ウラ面》
中西夏之《柔かに、還元》
トップバッターは中西夏之氏の3点の連作。白いカンバスにベージュ、紫、黄緑と同じ色を使っているのに、そこに現れたのは移ろいゆく何かの一瞬を捉えたもの。心地よい浮遊感とともに作品の中を散策。。
李禹煥《風と共に》
今までに色々なところで見てきたウファンの作品は年代によってガラリと作風が変わりますが、こちらは今回のテーマに沿った一枚。
大部分が白とベージュに塗られたカンヴァスに、まるで筆が自由に動いたかのような無垢なタッチで墨色の点や線が描かれます。それはザーッと風が抜ける大草原のよう。。
三瀬夏之介《山ツツジを探して》
部屋に入ると7mを超える大きな作品に圧倒されます。描かれている雄々しい山々に湧き上がる雲、自然の持つ圧倒的な何かに気圧されそうになりながら近くによると…
白や桃色の山ツツジを発見!遠くから見るのとはまた違った印象になるのが不思議です。
康夏奈《花寿波島の秘密》
逆円錐形の大きなインスタレーション作品は、下から潜るように内部へと入ると…
緻密に描かれた海中と海面上の岩場の様子が360度ぐるりと一周続き、まるで海の底にいるよう。。小豆島の近くにある無人の島・花寿波島で彼女が見て触れた自然を、まるで追体験しているようでした。
庭から始まり山、海まで行った散策も終わり、階段を登って3階へと向かいます。
第2部は「途切れないささやき」と題されたキュレーションで、今度は一転して作品から発せられる声なき声に耳を澄ませます。タイトルは(写真撮影不可の)舟越桂氏の彫刻作品からきたものですが、腰から上の半身像で大理石の虚な目をした3体はそれぞれに、または双方に囁いているようで…空間に立ち止まると同じ時を共有しているようでした。
クリスチャン・ボルタンスキー《死んだスイス人の資料》
名もなき人々の死、記憶をテーマとした作品を作っているボルタンスキーからは3品。これは2019年に観た大回顧展にもなかった、初めて見る作品。
同様に朽ちたビスケット缶に貼られているのは、新聞の死亡欄から切り取られた肖像写真。さまざまな人生を生きた人々は、等しく訪れる死によって個々性を欠いたものへとなっていきます。精神性の高い作品が多いボルタンスキーですが、昨年逝去されたことで彼の作品と対峙する時の自分の心の動きがまた変わったように思いました。
宮島達男《それは変化し続ける それはあらゆるものと関係を結ぶ それは永遠に続く》
最後の部屋では宮島さんのデジタルカウンターの作品。2部構成のカラーをここまではっきりと分けることができるとは、本当に素晴らしいキュレーションだと感じました。作家1人作品を飾る個展とは異なりテーマに沿った様々な作家の作品を集めたからこそ見えてくるものがあり、普段よりも作品の声に耳を澄ませることができたように思いました。