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【column/architecture】Finn Juhl Hus

2016年6月 7日

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コペンハーゲン郊外にある森の片隅にひっそりとある一軒家、ここは29歳と若き日のフィン・ユールが設計した自邸。

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コペンハーゲンから車を走らせること30分程、国立公園の深い森の終わりに建つ平屋建ての一軒家で、ユールが29歳の若さで設計しました。現在は隣接するオードロップゴー美術館が管理しており、暮らしぶりを伺えるような展示で一般公開されています。

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広い芝生のある一軒家はL字の作りで、三角屋根の真ん中あたりにポーチ、ブルーのドアを開けて中へ入ります。

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入ってすぐに大きな窓から芝生を望むガーデンルーム。自然光でとても明るい中、まずは来客の方々と談笑でもしたのでしょうか。

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備え付けのボックスソファの後ろには、生い茂る観葉植物。窓の外のブドウの蔦が組み合わさって、内と外の隔たりを感じさせない作りになっています。

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左手に足を進めると、ゆったりとした作りのリビングルームへ。入り口すぐには暖炉があり、2人掛けのソファ・ポエトをはじめとするフォンユールの家具がお出迎えしてくれます。

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至る所に掲げられたアート作品は、インテリアの一部として部屋に溶け込むように配置されています。(ここにあるのは大御所の作品ですが)アートを飾ることは何も特別なことではなく、蚤の市などで絵画を若者が小脇に抱えて買って帰る光景をよく見かけます。一際目を惹くこの油絵は、同時代のデンマークを代表する画家ヴィルヘルム・ランドストロームの作。ユールのパートナーであったハンナ夫人の父親がコレクターであったことから、ハンナ自身がモデルとなったのがこの油絵なのです。

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向かいに鎮座するチーフティンチェアは、まさにこの暖炉脇で使うためにデザインされたもの。暖炉のそばでゆったりと腰を下ろして寛ぐ姿が目に浮かびますね。

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その先には、壁一面の本棚。

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奥にはリビングの片隅にある仕事机。

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テーブル上には彼が10年勤務した設計事務所の主である、ヴィルヘルム・ラウリッツェンの照明Radiohus Pendel。

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リビングコーナーには括り付けのソファと幻のNo.44にNo.45。どの角度から見ても美しい、彫刻作品の様なチェアですね。。

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入り口から右側に進むとダイニングルーム、そして横にキッチン。

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照明やボウルなど、住んでいた当時のままに保存されています。トレイは復刻版が今でも入手できますが、食器は市販されるに至らなかった、プロトタイプ!

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コンパクトで使い勝手の良さそうな書斎。晩年はコペンハーゲンの事務所をたたんで、自宅で仕事をしていたそうです。

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切り抜きや写真など、細か〜く見ているときりがないですね。

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廊下には使いやすそうなウォールシェルフがあり、書籍とオブジェを組み合わせてディスプレイ。来客用の部屋も、素敵。。

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そしてその先には、主寝室が。

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この日は雨が降ったり止んだりのあいにくの天気でしたが、それでもこの明るさ。開放感があり、やわらかな自然光に包まれます。

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入り口手前にはこれまたユールらしい色彩&フォルムのダブルベッド。

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進行の合った

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このフィン・ユール邸を再現した建物が岐阜・高山にあり、どんな作りでどのような家具を使っていたのかを日本にいながらに見ることができます。ただ両方を訪れて感じるのは、やはり生活の息づかいがあるかどうかということ。シワのよったチェアの座面や日焼けしたベッドシーツ、どっさりと並んだ大量の書籍。20世紀デンマークを代表するプロダクトデザイナー(&建築家)であるフィン・ユールに招かれたように、自邸を探索してはいかがでしょうか。

 

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