hanauta
【ART】三菱一号館美術館/"カフェ"に集う芸術家 展
2026年7月 9日
大正3年創業時のものを復元した東京駅丸の内南口の美しいドーム天井!を眺めながら、久しぶりに丸の内へと降り立ちました。
目的は高層ビルに囲まれて異彩を放つ煉瓦作りの建物、三菱一号館美術館です。明治時代の政府お雇い外国人だったジョサイア・コンドルが明治27年(1894年)に設計した三菱一号館、老朽化によって1968年に解体されましたが忠実に復元して2010年に美術館として生まれ変わりました。
隣接するビルとの間には広場があり、暑い日ながらに木陰で涼んでいる人も多くいました。
三角形のロゴを目印に入り口へ。
《今展覧会フライヤー・オモテ面》
《今展覧会フライヤー・ウラ面》
オーギュスト・ルノワール《パリ・トリニテ広場》
最初の章は”描かれるカフェ”。中心に見える〈カフェ・ゲルボワ〉は若きモネやルノワールが集って印象派が生まれるきっかけとなった場所で、人々が賑わう芸術の生まれる空気を閉じ込めたような作品ですね。
そんなカフェで生まれた印象派の作品ということで、ここではドガなど印象派の作品が展示されていました。建物内部は当時のオフィスを再現しているために小さめの部屋が細かく繋がっているような構造で、暖炉の上部に絵画をかけたり何だかあたたかみを感じます。
次の章では”夜のカフェ”ということで看板や標識、そして照明を落とすなどの演出の中、キャバレーによって花開いたポスター文化をクローズアップ。
ここではモンマルトルにあったキャバレー〈ムーラン・ルージュ〉などの広告ポスターを展示。カラーリトグラフが生まれたり街の広告自由化など、19世紀末に変わりゆく街の様子を垣間見れたような気分でした。
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《アリスティド・ブリュアン》
ここで一番面白く感じた展示はこちら。キャバレーを経営してシャンソン歌手としても活躍するブリュアンに依頼されて本人を描いた作品。左が本作で右がそれを元にしたポスターかと思っていたら、その反対で左は油彩習作なのだそう。
テオフィル・アレクサンドル・スタンラン《シャ・ノワール巡業公演》
最後の章は ”シャ・ノワールの登場とその後の展開” 。モンマルトルに開いた新しい芸術キャバレー〈シャ・ノワール〉、店名にちなんだ黒猫(=Le Chat Noir)を描いたポスターです。描いたスタンランはこのポスターの成功から一躍アール・ヌーボーを代表するデザイナーへと躍り出ます。
左:サンティアゴ・ルシニョル《カフェ・デ・ザンコエラン》右:ラモン・カザス《マドレーヌ》
マドレーヌは〈ムーラン・ド・ラ・ガレット〉に出入りしていた実在の人物で、ワイン片手にタバコを燻らす姿は華やかさを描くというよりもより当時の空気感を詰めたようなリアルな印象。この2枚を描いた2人を含むスペイン画家が、パリの芸術カフェ(キャバレー)に刺激を受けて、バルセロナに芸術カフェ、クアトラ・ガッツ(Els Quatre Gats=4匹の猫)を結成。パリのシャ・ノワール(黒猫)にちなんだ名前ということも面白いですが、こうして当時の文化が隣国へと広がっていったのですね。
左:パブロ・ピカソ《カンカン》 右:アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《エグランティーヌ嬢一座》
そのクアトラ・ガッツに通っていたピカソが描いたフレンチカンカンは、ロートレックと似た構図ながらこの後へと向かう青の時代を感じさせるようです。
カフェに集い、カフェを描いた芸術家たちと時代の変遷を追っていった、この時代の雰囲気を感じることができたユニークな展覧会。カフェを描いた作品がただ並ぶのではなく、キャバレーを含んだ清濁併せ吞むより大きな渦のような時代そのものを舞台とした作品群だったのが面白かったです。
復元とはいえちょうど同時代の1894年に設計された建物での展示ということも、素敵な企画展だなぁと思ったのでした。
そして展覧会を見に行く前に店頭予約したカフェてと遅めのランチに向かいました。
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