hanauta
【ART】神奈川県立近代美術館 葉山館/もはやない国のかつてない光
2026年6月22日
鎌倉から少し南下した葉山にある、お馴染み神奈川県立近代美術へとやってきました。目の前に海、背後には山、公園を挟んで葉山御用邸のある立地、朝から曇っていたはずなのに気がついたら緑が映える青空が広がっていました。
まずはイサム・ノグチのこけしにご挨拶。
【今展覧会フライヤー/表面】
今回の展覧会は冷戦時代に分断された東ドイツで活躍した女性写真家15人を紹介するもの。
【今展覧会フライヤー/ウラ面】
こうしてフライヤーをパッと見て思うのは冷戦時代の様々な重圧があったであろう社会の中で、こんなに伸びやかな作品を生み出していたのかということ。
ジビレ・ベルゲマン《アネッテとアンゲラ、ルストガルテン、ベルリン》
まずは入り口に入ってすぐのところにあった地図を見ながら歴史の振り返り。1949年に東西に分断されて1989年のベルリンの壁崩壊、そして1990年にドイツは再統一されます。今回のフライヤーにも使われているベルゲマンのこの作品は1982年のものなので、壁で分断されていたベルリンの東ドイツ側での一コマになりますね。
展示は写真家ごとにシリーズなどをまとめて紹介しています。
エリフィン・リヒター《市庁舎の門番、ライブツィヒ》
構図や陰影のコントラストが格別な一枚。この他にも多様な人々の日常をとらえたもので、いずれもハッとする作品でした。そういえば展示された作品の多くがモノクロームなのに何か理由があるかと思ったら…社会主義国家の東ドイツではカラーフィルムが非常に高価だったことや、中には自由な表現のために秘密警察の目に留まらないように自宅での現像を求められるアーティストがいたりと、今の時代に生きる私には思いもよらない理由があったようです。
こちらはエリザベート・マインケの作品を展示。”東のヴォーグ”と呼ばれた雑誌『ジビレ』へ投稿していたので、希少なカラー写真の作品が見られます。
エリザベート・マインケ《小鳥と静物》
こちらも同じくマインケの作品。
ジビレ・ベルゲマン《記念碑》より
彫刻家のアトリエでの記念碑制作から設置されるまでの連作、初めは単なる興味から撮っていたものが国の公式記録となったのだそう。
ジビレ・ベルゲマン《記念碑、ウーゼドム島グムリン、1976年初頭》
タイトルからでは何を捉えたものか分かりませんでしたが、パッと同じドイツ人アーティストであるクリスチャン・ボルタンスキーの作品を思い出しました。
マーギット・エムリッヒ《リビングルームシリーズ》より
こちらは入り口で今展覧会のアイコンとなっていた作品を撮影したエムリッヒの作品で、一般家庭を訪問してリビングルームにて住人に好きなポーズを取ってもらうコンセプトのシリーズ。
右:マーギット・エムリッヒ《ダグマー・H (27歳)学術司書》
それぞれの「名前、年齢、職業」がタイトルになっていたので、作品リストを片手にじっくりと鑑賞しました。右の学術司書をしている彼女は理知的な服装に壁面を素敵に飾ったインテリアが印象的、その他にもパン職人の家族や学者の家など、それぞれの暮らしぶりを想像できる今回の展覧会で一番興味深い作品シリーズでした。
途中の休憩スペース、切り取られた窓からは紫陽花が見えます。
ドイツ写真というとベッヒャー夫妻やトーマス・ルフなど西ドイツのデュッセルドルフ派の展覧会に行っていたので、こうして東ドイツのあった時代に活躍した作品群から今まで知らなかった別の側面を学ぶことができました。
夏を迎えた葉山、美術館の背後には一式海岸が広がっています。
海の家ももう直ぐ建てられる時期ですね。
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