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【ART】国立新美術館 / ダミアン・ハースト CHERRY BLOSSOMS
2022年3月17日
3月にスタートした「ダミアン・ハースト 桜」展を観に、六本木にある国立新美術館を訪れました。
花曇りの空に黒川紀章設計の波打つファサードが映えますね。
何度訪れても面白いロビー部分。開放感のある空間に、ガラスのカーテンウォールから光が燦々と降り注ぎます。太い柱のような円錐形のコーン?の上には、カフェとレストランが乗っているのです。
コペンハーゲンの空港を思い出させる木の床には、ハンス J. ウェグナーのCH07シェルチェアが置かれたり…
2F廊下にはポール・ケアホルムのPK80…
コーン上の2FカフェにはYチェアと、北欧家具で統一されているのも私たちには嬉しいポイントです。
【今展覧会のフライヤー・オモテ面】
ダミアン・ハーストは1990年代にヤング・ブリティッシュ・アーティストの中心人物として話題となった、イギリス現代アートを代表するアーティスト。
【今展覧会のフライヤー・ウラ面】
私も以前デンマークの美術館ARKENの常設展でホルマリン漬けの牛やスポット・ペインティングなどの代表作を見て衝撃を受け、アートの概念やコンセプチュアルアートに対する解釈の難しさを覚えたことを思い出しました。。
そんな彼の日本初の大規模個展というから、どんな感じかと思って会場に足を踏み入れると一面の桜!(会場内はすべて撮影可能でした)
今回の展覧会では、昨年フランスのカルティエ現代美術財団が開催した展覧会「Cherry Blossoms」展でお披露目された「桜」シリーズより24点が展示されています。初の大規模個展なのに他の代表作などを混ぜないのはなぜだろうと思っていたのですが、この風景を一目見て納得。
《生命の桜 Sakura Life Blossom》
こんな3連の作品も。視界には彼の描いた桜のみ、ベンチに座って眺める姿はまるでお花見のようですね。
一昨年東京都近代美術館で観たピーター・ドイグの展覧会でも、同時代かつ対照的なアーティストとしてハーストの名があがっていました。当時の彼は絵画を古くさいものと捉え、自身の見つめる「生と死」をテーマとした過激な作品を次々と発表。そんな彼がまるで原点回帰するかのごとく、どうして抽象と具象の間のような新作絵画に挑んだのでしょう。。
なんてふと湧いた疑問に、会場の奥で流されていたドキュメンタリー・フィルムで本人がさらっと語ってくれていました。フランシス・ベーコンやポロックからの影響、はたまた印象派やポスト印象派などの美術史についてなど、考えの変遷を経てこうも新たな作風へと至るのかと、本当に勉強になった映像でした〜(展覧会の公式サイトにて見ることができます)。
《神聖な日の桜 Spiritual Day Blossom》
こちらは展覧会の主催者カルティエ現代美術財団の所有作品。他もう一点を除いたすべての作品は個人蔵というから、一体どんな方が購入できるのでしょうか。。そしてこの展覧会が終了すると、儚く散る桜のように世界へと散ってしまうのですね。
高い部分はハシゴを使いキャンバスは寝かさずに立てた状態で描き、筆についた絵の具をヒュッとキャンバスに投げつけるように付けて。ピンクと白だけでなく青や黄色を混ぜるのには光を反射される自然の法則からというのは、描くものは違えどスーラなどと同じ考えなのですね。
《この桜より大きな愛はない Greater Love Has No-One》
そして最後の壁面には、横7m 高さ5mを超えるサイズの作品!正面にボーッと立っていると幻想的な桜の世界へと没入していく感覚を覚えて、立ち去り難くなりました。。
桜を愛でる日本において、桜の時期に開催してくれたことに感謝。