HOME › hanauta › ART&CULTURE › 【ART】横浜美術館 / おかえり、ヨコハマ
hanauta
« 【LUNCH】横浜 / 南インド料理店 bodhi sena 【湘南さんぽ・LUNCH】お食事処 大原 と 湯河原日帰り温泉 »
【ART】横浜美術館 / おかえり、ヨコハマ
2025年5月 8日
そしてこれまた車で数分移動して、みなとみらいに到着。
ベイエリアのみなとみらいは年を追うごとに開発が進み、近年ではKアリーナ横浜がオープンして話題になりました。私たちは映画館や美術館などピンポイントで訪れていたくらいなので、気がつけは人の憩う素敵な街になっていた!と驚いたのでした。
そして本日の目的は約3年もの大規模改修工事を経て3月にリニューアルオープンした横浜美術館、丹下健三氏の晩年の作品です。
リニューアル記念展となるのが今回の「おかえり、ヨコハマ」です。
エントランスホールに足を踏み入れて驚いたのはその明るさ!天井から降り注ぐ光に自然光なんて今まで入ってこなかったはず…と調べてみると、天井には当初より開閉式ルーバーが設置されていたそうですがほとんど開けることはなく、そのうち故障して動かなくなっていたのだそう。
今回の改修で全面的にルーバーを改修して動くようになり、当初丹下氏がイメージした空間となったのかと思うとグッときますね。キラキラと降り注ぐ光に壁に映し出されたゆらめく影と、トップライトからの光が加わるだけで今までとはまったく異なる解放感あふれる印象になっています。
床も天井も御影石でややもすると重厚感のある空間でしたが、リニューアルでピンクベージュを基調としたインテリアが加わり、空気がほぐれたようなまた新しい魅力が加わったように思います。
このエントランス部分はギャラリーなどもある「じゆうエリア」として無料で楽しむことができます。
《今展覧会フライヤー・表面》
《今展覧会フライヤー・ウラ面》
今回の「おかえり、ヨコハマ」のタイトルから3年ぶりに帰ってきた横浜美術館のコレクションを中心としたものかしらと想像していたのですが、そんな想像を遥かに超える8章からなる壮大なものでした。
「第1章 みなとが、ひらく前」は開港前の話かと思いきや古墳時代の愛らしい埴輪ではないですか!
「第2章 みなとを、みらけ」では興味深い錦絵(多色刷りの木版画)を展示。
これは横浜港の開港後に開業した遊郭の様子、様々な国の人々が混ざっていますね。上の表は数字や簡単な単語を英語、オランダ語の2カ国のカタカナ読み(女→ウヲーメン、フローなど)で書かれて面白い。
歌川広重(三代)《横浜海岸鉄道蒸気機関車図》
東海道五十三次の広重が機関車をテーマにした錦絵を描いているとは、これぞ錦絵の艶やかな色彩です。
五姓田芳柳《外国人男性和装図》
その後の「第3章 ひらけた、みなと」でも今までに見たことのない掛け軸が!江戸時代の衣装に写真を基にした肖像を組み合わせた絵画で、外国人の土産物として人気が高くほとんどが外国に持ち帰られたために日本で目にする機会がほとんどないのだそう。
「第4章 こわれた、みなと」では大正12年の関東大震災のようす。その時代を生きたアーティストが何を感じてそれをどう消化して描いたのかを興味深く感じました。
そして「第5章 また、こわれたみなと」には松本竣介《Y市の橋》シリーズが。これが通る横浜駅きた東口近くの月見橋を描いたもので、よく通る(この日も通った)場所であることに初めて気が付きました。
奈良原一高《Blue YOKOHAMA》より
「第6章 あぶない、みなと」では第二次世界大戦後の占領下の横浜の様子がテーマとなります。奈良原一高のモノクローム写真も他では構図の素晴らしさなど純粋に作品として見ているものが、今回の展覧会では写真のもう一つの側面である”その瞬間を切り取ったもの”として当時の横浜の張り詰めた空気感などをより強く感じました。
浜口タカシ《鉄条網の内と外》より
こちらは浜口タカシの作品群。この向かい側ではChris Chong Chan Fuiの短編映像が流れていて、黒澤明監督の映画《天国と地獄》の一場面が元となっているとの説明を胸に興味深く鑑賞。家に帰ってからサブスクで久しぶりに映画を見返したのですが、当時の横浜の様々な面を描いていることを展覧会を見た後だからこそより実感として染み込んできました。
パブロ・ピカソ《女の肖像》《ひじかけ椅子で眠る女》
「第7章 美術館が、ひらく」では1989年会館のこの美術館のコレクションを紹介。
階をまたいで…
ルネ・マグリット《王様の美術館》
最終章「第8章 いよいよ、みなとがひらく」の前半では子どもたちのために選んだ作品がチルドレンチェア、そして子どもたちに向けた鑑賞ポイントとともに紹介。
子どもたちの目線に合わせて、作品を飾る高さも通常の基準より低い!
奈良美智《春少女》
そして最後の奈良さんの作品は、2012年当館で行われた展覧会「奈良美智:君や 僕に ちょっと似ている」展で新作として飾られていたもの。そのまま美術館の収蔵作品になったのだなぁと、ふたたびのご対面に嬉しくなったのでした。
ヨコハマをテーマとした8章からなる展覧会ということで、少し方向が変わると説明的になったりまとまりがなくなりそうな難しいテーマだと思うのですが、ちゃんとテーマに沿った横浜の歴史背景を感じる作品なのに、いちばんに純粋に作品の面白さが伝わってくるすばらしいキュレーションでした。今後の展覧会も楽しみです!
« 【LUNCH】横浜 / 南インド料理店 bodhi sena 【湘南さんぽ・LUNCH】お食事処 大原 と 湯河原日帰り温泉 »

















